学長挨拶
拠点リーダー挨拶
メンバー紹介

 

本プログラムの目的

研究拠点形成実施計画

 風工学研究センターを中核とする研究教育拠点形成を行い,研究拠点としての人材,設備の充足を図る。耐風構造分野では,設計風速の評価に関連する問題から,建築物に作用する風力の特性把握と風応答予測手法の確立,応答モニタリングシステムおよび強風災害低減システムの構築と提案などの課題に取り組む。現有の大型境界層風洞に加え,風圧実験システムの増強,突風実験システム,可視化システムなどの整備強化を行う。通風換気分野では,自然通風エネルギーの利用促進のための通風開口部設計法の開発を行い,多点風圧計測装置,PIV可視化装置,同微動制御装置を導入し,高精度な建物周りの乱流計測環境を整える。風環境・空気汚染分野では,都市,建築物内の空気汚染防除手法の確立に取り組む。瞬間濃度計測技術の開発のため,高速画像取り込み装置や画像処理専用計算機などの導入を図る。以上3分野は実験や数値解析手法など基礎的事項に共通点を持つが,必ずしも同列には扱えない。分野毎に異なる事業推進担当者が当たるとともに,相互にノウハウを共有しあい,有機的に活動する。研究に関する人的資源としても,PD,RA,技術スタッフの増員を図り,これらの設備を有効に利用した研究を推進できる環境を整備する。教育拠点としては,研究成果の大学院教育への反映を諮るとともに,博士課程進学者の増員対策を講じる。また,APEC諸国強風防災センターおよびAPEC風研究者ネットワークを通じてAPEC諸国への人材交流,技術普及を進める一方,風工学情報技術室による電子的風力・風圧データベースの公開や関連技術情報の発信,モニタリング技術の実建物への応用,あるいは可視化技術などの先端技術や数値シミュレーション技術などの開発を推進し,社会への情報発信を積極的に行う。


都市・建築物へのウインド・イフェクトに関する中心的研究課題の実施計画

耐風構造分野の課題(主として強風を対象)
 建築物の合理的で経済的な耐風設計手法を確立し,都市や建築物の強風災害を低減させるため,この分野では主として以下の研究に取り組む。

  1. 強風発生確率予測システムの構築
    台風シミュレーションなど,強風時の風速の発生確率を,その地域の気候条件などを考慮して予測し,建築物等の設計風速や被害予測として反映させるシステムの構築を行う。さらには,アジアパシフィック地域での強風予測手法の開発と成果の提供も「APEC諸国強風防災センター」および「APEC風研究者ネットワーク」を通じて行う。
  2. 建築物に作用する風力の特性把握と応答予測手法の確立
    建築物に作用する風力の特性を明らかにし,風圧力,風力の電子的データベースの構築を行う。また,塑性領域に至るまでの建築物の風応答性状の把握,応答予測手法の確立,繰り返し風力による疲労設計手法の検討,各種限界状態と対応する耐風設計手法等の検討を行う。
  3. 応答モニタリングシステムおよび強風災害低減システムの構築と提案
    風応答の実測,精度良い建築物のシステム同定手法の開発,GPS技術等を利用した都市建築物群の風応答モニタリングシステムの開発,FEMモデルとの併用による健全性評価システムなどの研究を推進するとともに,APEC諸国の実情に応じた対風構工法の開発も実施する。

通風換気分野(主として中弱風を対象)

 夏季の中弱風時の快適性は将来的には自然換気を利用した省エネルギー手法が期待されているが,通風に関する評価は現状では難しい。この分野では通風開口部設計法の研究に焦点を絞る.

  1. 自然通風エネルギーの利用促進のための通風開口部設計法省エネルギー手法として期待される通風設計法の確立を目指す。通風開口部で生じている乱流現象の解明により,開口部の通気特性,空気流れ場の乱流特性を解明する。さらに気象データベースを構築し,これに開口部の通気特性を組み合わせることにより,通風設計法を構築する。

風環境・空気汚染分野の課題(主として中弱風を対象)

 建物群内におけるガス拡散現象はその気流状態が複雑なため,多くの研究者の取り組みにもかかわらず,精度の高い予測方法は確立されていない。この分野では空気汚染防除法の研究に焦点を絞る。

  1. 都市および建築物内の空気汚染防除手法の確立建物群内およびストリートキャニオンにおける汚染物濃度および気流性状(特に乱流統計量)についてLDV(Laser Doppler Velocimetry)を用いて詳細な計測を行い,濃度と気流構造の関係を明らかにする。また,濃度分布と大気安定度,建物,道路配置の関係を調べる。一方,数値計算手法により流れ場と拡散場の計算を行い,風洞実験と同等な解析手法を構築する。建物群落内と外部空間での拡散物質の移流を考慮した簡易予測式を提案する。

 


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