学長挨拶
拠点リーダー挨拶
メンバー紹介

 


21世紀COEプログラム拠点校に採択されて  
拠点リーダー 教授 田村幸雄 

 東京工芸大学・工学研究科・建築学専攻から,文部科学省に提出した21世紀COEプログラム「都市・建築物へのウインド・イフェクト」がお陰様で採択された。風工学関連では唯一の採択であり,今後,関係諸兄の応援がなければ,我々の所期の目的を達成できないことは明白であり,ご協力とご支援をお願いしたい。
 ヒアリングの通知を頂いたのは,5月下旬の米国シアトルでのASCE Structures Congressおよび6月上旬のテキサスでの国際風工学会議へ向けて出かける直前であった。6月17日夕刻にヒアリングということで,3週間しかなく,そのうちの2週間を空けるのは,何とも気が重い限りであった。ヒアリングに残ったというだけで,かなり驚きの目で見られたようであり,テキサスではちょっとした話題となった。まして,採択されるとは,おそらくどなたも考えなかったのではなかろうか。当事者自身も殆ど予想しないことであった。
 今回のCOE採択の最大の功労者は、東京工芸大学の本多健一学長である。私どもは、国内外での風工学に関する学会活動や研究活動では、微力ながら、それなりの貢献をしてきたと自負しているが、大学が極めて小規模であり、可能性は必ずしも高くないと考えていた。今回の応募は本多学長の強い勧めによる。
もう一人の功労者は、本学の小林信行教授である。現在は、東京工芸大学・副学長の要職にある。建築環境工学を専門とする彼が東京工芸大学に入ったのは30年近く前であると思われるが、本学における風工学研究の礎を築くとともに、爾来、風工学に特化した研究集団形成を継続的に推進した。
先ず,同じ建築環境分野の大場正昭教授を呼び,暫くして構造分野の小生を呼んでくれた。20年前である。建築学科も,エンジニアリング部門を須らく風工学に特化することに大変理解を示し,予算配分,施設やスペース利用に極めて協力的であった。
 そのお陰で,平成12年度には,私立大学を対象とした「学術フロンティア」に採択され,「風工学研究センター」が建設され,海外からの客員研究員やPDを含め,施設や人材が一層整った。初代センター長には小林信行教授が就任した。環境分野に伊藤一秀講師,構造分野に松井正宏助教授,吉田昭仁助手が新たに加わり,建築風工学の専門家が6人となった。学術フロンティアでは,国内外の風工学者の他に,建築構法を専門とする大野隆司教授にも参画いただき,耐風構法の研究開発に大きな推進力がついた。昨年度は,更に,大学院へ大熊武司・客員教授を得て,研究教育のための陣容が整った。
 以上名前の挙がった者で,COE研究教育拠点形成のためのプログラムを提案した。
 20名程度でのCOE申請が殆どであり,30名近い申請もかなりあることを考えると,いささか小さ過ぎるきらいはあるが,シャープに焦点が絞られた申請であるとの評価を受けた。申請者個々のこれまでの努力もさることながら,20年以上に亘って特色作りをした建築学専攻全体の成果であったと思われる。
 ご承知のとおり,21世紀COEプログラムは,「大学(国立大学)の構造改革の方針」(平成13年6月)に基づき,平成14年度から文部科学省に新規事業として「研究拠点形成費補助金」が措置されたことにより発足した。世界のトップレベルの大学に対抗して,世界をリードする創造的人材を育成していくべく,我が国の大学の教育および研究の水準向上を図るプログラムである。競争的環境を醸成し,学問分野ごとに世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援することにより,活力に富み,国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進することを目的としている。
 人文・社会科学から自然科学までの学問分野を10分野程度に構成し,平成14年度と15年度の2カ年間に亘って分野別に審査した。国公私立大学の大学院(博士課程)レベルを対象として,如何にして世界的な研究教育拠点に育成していくかという学長のリーダーシップや大学としての戦略も,評価の対象となる。1件当たり年間1〜5億円程度の支援を5年間程度予定しており,2年経過後に中間評価,期間終了後に事後評価が実施される。
 土木・建築を含む工学の分野は,本年度審査され,表1に示すように,106件の申請のうち23件が採択された。多くが機械分野であり,土木・建築と思われるものは7,8件で,うち私立大学は2件であった。
 多くの有力校が不採択となったことを考えると,一層,責任の重さが痛感される。

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