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NEWS

9月3日 建築学会大会2019 in 石川に学生4名と参加してきました.(ブログあり)
8月2,9日 日本女子大・宇都宮大と研究交流会を行いました.(ブログあり)
6月7日 第1回電脳建築最適化 世界選手権が開催されました.結果はこちら.(競技継続中)
5月3日 学内広報誌「えんのき」で研究室が紹介されました.
3月22日 建築設備コミッショニング協会認定資格であるCxPEを取得しました.

MESSAGE

私の研究フィールドである建築環境工学は歴史のある研究領域であり、これまでは人生の90%を過ごすと言われる室内環境の快適性や健康性について精緻に研究されてきました.しかし、以前は補助的な環境制御装置であった空調設備システムの技術革新や、地球環境問題・化石エネルギー枯渇問題の深刻化、都市に住む人の健康性への配慮などの時代背景から、建築で扱う「環境」の意味も建物内から地球環境まで拡大し、建築環境系の研究室で扱うテーマも多岐に渡っています.その中で、私の研究室では室内快適性の確保とエネルギー消費量削減を両立する環境建築の実現を目指して研究に取り組んでいます.

<室内快適性とエネルギー消費>
室内快適性と建築のエネルギー消費は、今では相反関係(トレードオフの関係)にあると言われていますが、昔の建物においてはエネルギー消費量そのものが小さく、自律的に環境を制御する機能を建築が備えていたということもあって、その関係性は今よりずっと弱いものでした.良い室内快適性を確保するために多くのエネルギー消費が必要であるという関係性は、建築環境に配慮しない建築の出現がそれを強くしたと言えます.例えば、窓の開かない開口部、庇のないガラス建築、過剰な気密性を持つ外壁は、多くの負荷を室内に溜め込み、外部に排出するのに機械的なエネルギーに依存することになります.空調設備設計者の視点からは、強制的に室内環境を維持することができる「強い技術」としての空調設備システムがこのような建築が成り立つことを許したのではないかと感じます.
環境建築を実現するためには、まずこの関係性を弱めることが第一であり、その後に高効率な空調設備システムによる環境制御を考えるべきです.極端な話、空調負荷を減らすためには窓をなくす、安定した地下に建物を作ることも考えられますが、人は自然や外部環境との断絶を望んではいないということを前提に、快適性を軸として自然環境と室内環境の狭間のデザインを考えることが重要と考えています.

<将来を担う環境・設備エンジニア・デザイナーの育成>
私は11年間に渡り、新築建物の設計実務に携わってきました.持続可能な社会の実現が喫緊の課題となっている今こそ、志の高い環境・設備エンジニア・デザイナーの重要性が高まっていると感じています.私の研究室では、環境・設備エンジニア・デザイナーへの素養として環境と設備に関する幅広い知識と技能を取得し、進歩への対応力と広い技術的視野を獲得することを教育上の目的としています.
R.バンハムは技術者の専門性への極度のこだわり・技術の追求が建築そのものに大きく影響を与えたことに注目しており、技術者も一種の建築家と言える側面がある、と指摘しています.この研究室の卒業生が、様々な分野でその技術的こだわりを発揮し、環境性能の高い建築の実現を通して持続的社会の実現に貢献してくれることを期待しています.

<研究室のミッション>
私の研究的専門は自然換気システムを中心とした建物内外の風環境です.建物外皮周辺の風環境から換気としての建物内の風の流れまでを研究し、風をデザインする試みを行っています.また、実務経験で培った経験から先端的な空調システムの設計や建物のエネルギーマネジメントも重要な研究テーマとしており、特に実運用データの解析や運用フェーズのコミッショニングに取り組んでいます.これらの研究テーマを建築計画と環境設備計画の両面から統合し、ZEB(Zero Energy Building)をはじめとした環境建築の実現と一時的な快適性ではなく生涯尺度で評価される健康的な室内環境の実現を目的としています.

このように建築環境計画研究室では、建築と環境設備の統合的視点から環境建築に対する実践的研究に取り組み、持続可能な社会の実現という明るい未来を目指して、研究成果を社会に発信し続けていきます.

2019年5月