研究内容
強風分野
適風分野
弱風分野

 


 近年の大都市部における窒素酸化物NOxならびに粒子状物質SPM等による大気汚染は、自動車排ガス規制等の種々の施策にもかかわらず、十分な改善がなされているとは言えず、むしろ悪化の傾向を示している。また、室内に目を向ければシックハウス、シックビル等の空気汚染問題が顕在化しており、建物内外において早急な空気汚染対策が望まれている。
 この様な背景のもと、PROJECT 3では都市部および建築物内の空気汚染構造を解明し、その防除対策手法の確立を目指して研究を推進する。都市部を対象とした研究では、特に汚染ガスの拡散性状の解明、高精度の拡散予測手法の確立を目指す。建物群内におけるガス拡散現象はその気流状態の複雑さのため、多くの研究者の取り組みにもかかわらず、高精度の予測方法は確立されていない。さらに風洞実験と自然風の流れ場特性の違いにより、実験から直接濃度や濃度変動を予測することが困難である。本プロジェクトでは建物群内およびストリートキャニオンにおける汚染物濃度および気流性状(特に乱流統計量)についてLDV(Laser Doppler Velocimetry)を用いて詳細な計測を行い、濃度と気流構造の関係を明らかにする。また濃度分布と大気安定度、建物、道路配置の関係を調べる。さらに、数値計算手法により流れ場と拡散場の計算を行い、風洞実験と同等な解析手法を構築する。最終的に建物群内における拡散物質の移流・拡散を考慮した簡易予測式を開発することで、都市計画・設計段階における市街地の空気汚染防除方法が提案され、人間の健康的生活保持に大きく貢献できる。
 また、室内を対象とした研究では、快適・安全で衛生的な室内空気環境を達成するために室内空気汚染の構造を、流れ場・温度場・湿度場等の物理環境の側面、無機化合物・揮発性有機化合物等の化学環境の側面、ならびにカビ・ダニ・真菌等の微生物環境、の3つの側面より解明し、最適な室内空気環境設計を支援する総合的なIEQ(Indoor Environmental Quality)予測モデルを開発する。


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