第9回たかさき都市景観賞

Photo : MAKOTO YOSHIDA

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 敷地はまだ周囲に住宅が少なく、南側にはのどかな農地が、北側には半工業地帯が広がるやや特殊な環境に位置している。都市と自然の混在した性格の定まらない環境においても家族が様々な体験をしながら楽しく暮らせるよう、建物が周囲に頼らず自立的に建つことが求められた。このような条件から、平面計画として、家族がくつろぐ場所をある程度閉じながら開く「ハコ」としてつくり、「ハコ」の組み合わせと立体的な配置によってプランを組み立てる方法が自然に導かれた。

 1階は、「大人のハコ」、「子供たちのハコ」、「水場のハコ」という三つの比較的プライベートな性格をもつ「ハコ」のレイアウトによって平面が決定されている。ハコは黒い鋼板で仕上げられ、ハコどうしの間は住居内のパブリック〜セミパブリックスペースとなっており、あたかも小さな住居の間に路地が形成されているかのような構成となっている。T字状の路地はそのまま外部空間へと延長され、住居へのアプローチや庭のデッキ、坪庭となって、外部空間の性格をも方向づけて、建物と外部空間が連続するランドスケープとして計画されている。2階には1階とは対照的に大きな、シルバー色の「ハコ」が載っている。これは、家族が共有する大きな空間である。木製デッキ、坪庭、広い場所、こもれる場所など性格の異なる内部空間、外部空間が形成されており、家族のさまざまな活動を何でも受け入れる包容力のある空間となっている。

 住宅の北側には、北西季節風から居住空間を守る防風壁が斜めに挿入され、1階南側から2階北側へ抜ける吹抜が形成されている。この吹抜は、1階の個室と2階の家族室を空間的に結ぶと共に、客人を迎え入れるロビーでもある。空気環境的には、煙突効果によって夏期には換気通風路となり、冬期には2階の大きな居住空間へ暖かい空気を送り込み、自然空調装置としても働いている。

 大小様々な「ハコ」の組み合わせが室内外の空間を取り込んで、多様な生活空間を生み出し、クールな印象の外観と心地よい内部空間の両方を獲得している。

 この住宅は2003年「群馬県ゆとりある生活推進協議会長賞」、2004年「第九回たかさき都市景観賞」を受賞した。

DATA

 

■建築条件

所在地  :群馬県高崎市

主な用途 :住宅

敷地面積  :496.02m2

用途地域 :市街化調整区域

 

■建築概要

建築面積 :90.14m2

延床面積 :136.67m2

構造・規模 :木造・地上2階

設計期間 :2001年6月〜2002年2月

工事期間 :2002年4月〜2002年10月

 

意匠設計 :八尾廣+角倉剛+大野高志
      (THTアーキテクツ)

構造設計 :山田構造設計事務所

設備設計  :八尾廣+角倉剛+大野高志

施工     :安松託建