EN

JP

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

Photo : HIROSHI TABUSE

 郊外のまだ農地の残る安定した環境の住宅地に建つ二世帯住宅である。ご高齢の親世帯と私と同世代の子世帯の好みやライフスタイルがかなり異なることから、1階が親世帯、2階が子世帯と分かれて住む形となる。打ち合わせの当初は、それまで離れ離れで住んでいた親世帯と子世帯どうしの会話がなかなかかみ合わず、これは大変だと思う場面もあった。そんな中で、お母様の愛情をかけた庭に出ると、二世帯のご家族が何とも穏やかな表情となり、庭で遊ぶ子供たちを通じて気持ちが通い合う場面が何度もあった。二世帯のご家族を結ぶのは庭であると確信した私たちは、比較的余裕のある敷地の中で南西側の公園に面した部分を庭として最大限の面積を確保し、それを囲うような家の配置へと導かれていった。台形状の敷地の北東側に長く延びる「くの字」形の家の基本形ができ上がった。

 親御さんご夫婦とお母様の妹様の3人で住まう1階と、夫婦+子供の子世帯が住まう2階では、ボリュームに差があった。このボリュームの差を利用して、「くの字」の東辺の1,2階をずらすと、その下に2台分のカースペースと玄関へのアプローチをぴったりとることができた。和室中心の1階は庭に直接面する縁側を広く設け、和室どうしは引き戸によって連続的に使えるようにした。夏は厳しい日照をさえぎり、冬は陽光が暖かく差し込む縁側によって、1階の親世帯のスペースをなごやかで落ち着いたスペースとすることができた。「くの字」の東辺の部分では縁側に続くように玄関を設け、その南側にご要望の茶室を離れのように設けた。居住スペースの南側と茶室周りで庭を一部仕切り、居住スペース前は芝生の庭とし、茶室周りは白玉砂利敷きの坪庭とした。肝心の庭のデザインは事務所の元スタッフの庭園デザイナーである多田恵里花に協力を依頼し、お母様ともよく話し合い、デザインを決めていった。2階は子世帯の建て主がナチュラルでおおらかなお人柄であることもあり、縁側の上部を大きなデッキテラスとし、室内はおおらかな屋根で覆った。「くの字」の折れ曲がる要の部分にはキッチンと、第二のリビングとしてのサンルームを設け、内部と外部が混じり合ったような気持ちのよい住空間をつくった。サンルームからは屋上へ上がる階段を設け、主寝室の上に大きな屋上デッキを設けて、バーベキューをしたり日光浴ができる、アウトドアライフを楽しめるようにした。

 親世帯と子世帯とでは形は大きく違うけれど、同じように庭を囲い、庭を通して2世帯のつながりをつくる工夫をちりばめて全体の一体感を形成することができた。ちなみに「くの字の家」の名称は、家づくりを楽しまれた建て主による命名である。

DATA

 

■建築条件

所在地  :東京都田無市

主な用途 :住宅

敷地面積  :244.14m2

用途地域 :第1種低層住居専用地域

 

■建築概要

建築面積 :119.26m2

延床面積 :195.10m2

構造・規模 :木造・地上2階

設計期間 :2007年11月〜2009年7月

工事期間 :2009年8月〜2010年2月

 

意匠設計 :八尾廣建築計画事務所
      (八尾廣+粕谷宣弘)

構造設計 :長坂設計工舎 長坂健太郎

設備設計  :八尾廣+粕谷宣弘

施工     :司建築計画